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2020-05-18

Exploring the Drum Carder!

Red Alder 2日目はExploring the Drum Carder (ドラムカーダーを探検しよう)というクラスを取りました。

講師は、クレメス親子。

そう、我々が代理店を務めるクレメス・アンド・クレメスのお2人です。クレメス・アンド・クレメスはカリフォルニア州で、こだわりの紡ぎ関係の道具を作る工房として有名で、特にドラムカーダーは逸品です。お父さんのヘンリー(左)と息子さんのロイ(右)の2人で営んでいます。

<ヘンリーが工房を始めた経緯>

クラスはヘンリーが工房を始めた経緯、自己紹介から始まりました。
ヘンリーはわずか8歳の時には自分専用の木工道具を買ってもらったくらい、木工好きな少年だったそうです。ヘンリーが14歳になったある日、新聞に木工所の部品加工の募集が出ていて、息子には内緒でお父さんが(勝手に!)息子を推薦し、応募したそうなのです。

〜木工所とヘンリーのお父さんとの会話〜

木工所「息子さん?お幾つですか?」
お父さん「14歳です。」
木工所「14歳?冗談でしょう。」
お父さん「息子は器用で中々いい仕事をします。使ってみて仕事がまずかったら給料を払わなければいいじゃないですか」・・・・

結局、木工所はヘンリーではない普通の大人を採用したのですが、技術不足ですぐに解雇。そこで声がかかったのが、わずか14歳の少年ヘンリーだったのです!
とは言っても、中学生のヘンリーには学校があります。作業は家で行い、毎週金曜日になると放課後に木工所を訪れ、加工した部品と新しい木材を交換する。。。という生活を続けていたそうです。

木工所の主人に可愛がられるようになり、色々と学んだヘンリー。この木工所には壊れた糸車やドラムカーダー、機が迷い込んできて修復もしたそうです。
それから数年。エンジニアになるべく大学に通いながら、木工所で働くヘンリーの元に、木工所のご主人の急死の知らせが・・・
結局木工所は閉めることになり、未亡人に代わって工房の整理や在庫処理を行ったのはヘンリーでした。

ある日、銀行から電話があって「数か月分の給料の代わりに木工所の機材を受け取ってくれないか」「ご主人が亡くなってからお酒にお金を使い切ってしまい、給料は払えず、機材しか残っていない」とのこと!
沢山の機材をどうしよう?とお父さんに相談したヘンリー。お父さんの答えは・・・「木工所を開くんだな」だったそうです。

大学の専攻を、急遽ビジネスに変更、以前からのお客さんに声をかけ自分の木工所を開いたそうです。たくさんのドラムカーダーを修理してきたヘンリーは、ここで最初のドラムカーダーをデビュー。その後ドラムカーダー以外にも家具等色々と手がけますが最終的には、息子のロイと共に、親子で紡ぎに関する道具に絞ったクレメス・アンド・クレメスを営むことになったのです。

<初めは、ドラムカーダーの修理から始まった>

今では、アメリカで不動の人気を誇るクレメスのドラムカーダー。
その初めは、ドラムカーダーの修理依頼を受け、普及品の問題点を熟知することから始まったそうです。
沢山のドラムカーダーの修理をする中で、ヘンリーは幾つかのことに気が付きます。まずは工業用カーダーと家庭用のカーダーの違いです。工業用はドラムを変えずに殆どの繊維をカードするのに比べ家庭用ではドラムが変えられるようになっています。家庭用のカーダーは工業用のカーダーとは違う歯を利用するからだという事に直ぐに気が付いたヘンリー。(何故ドラムを交換する必要が無いかクレメス・アンド・クレメスのブログに詳しく説明してあるので後日改めて翻訳させて頂きます。)
ヘンリーは研究の末、オリジナルのドラムカーダーに独自の技術を盛り込みました。

・工業用の歯を採用。工業用の歯は研いであって先がとても鋭いもの。
・小ドラムの歯を斜めに巻きつける。TPI (Tooth Per Inch 一インチ四方に当たる歯の本数)は75TPIと一般的ですが、小ドラム(lickerin リッカーイン)に巻く歯を「斜めに巻く」ことによって95TPIのクロスと同じ役目(繊維を綺麗に細かく混ぜる)を果たす事を編みだしました。

〜小ドラムの歯が斜めに巻きついているいる理由〜
繊維が単に「真っすぐな歯」→「真っすぐな歯」に移る。という一般の家庭用ドラムカーダーよりも、格段に効率的に繊維を開けることがわかったのです。
真っすぐに入れた繊維が、小ドラムで、斜めに移動し研がれた歯によって分けられ、繊維が交差して大ドラム(Swiftスゥイフト)に移ります。

もっと細かいクロス(95TPI)を普通に使えばいいのでは?という疑問もあります。わざわざ75TPIのクロスにした理由。それは歯の間隔を狭くしたくなかったからだそうです。小ドラムには繊維を開く役目と短い繊維を除ける役目があります。歯の間隔が狭いとゴミや短い繊維がそのまま大ドラムに移ってしまうという弱点があるのです。
75TPIという間隔の広い歯を使う事で「ゴミを拾い除く」。斜めにする事によってより「効率的に綺麗に繊維を開く」ことが可能となったのです。

<ドラムカーダークラスの内容>

丸一日かけて、ドラムカーダーを使いこなす為の特訓を受けてきました。その内容の重要な部分を書いておきたいと思います。
クラスで使用した機は、Eliteシリーズのエリート・クランクレス。電動で持ち手無しが基本ですが持ち手を付け、手動にも変えられる優れものです。(ちなみに私が個人で使うのは同じシリーズのコンバーティバル。モーターとドラムとが別なのでモータを使わない時は手動、モーターを繋げれば自動になります。こちらを選んだ理由は重量。クランクレスは約20㎏、それに比べ同じ重量をモーターとドラムに分けられるので運びやすいのです。欠点は背が高くなることです。)

クラスでは4つのバッツを作りました。
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一つ目のバッツは手動で。1.5オンス(約42g)のボーダーレスタ(Border Leicester)でセミ梳毛(セミワーステッド)バッツ。何故純梳毛ではないかと言うとドラムカーダーは元々紡毛に紡ぐバッツを用意するもの、完璧な梳毛はコームでしか準備できないというのがロイの見解です。

ドラムの隣にあったのは新しい商品、ロックポップ。フリッカーと同じ役目を果たすこの道具。「正直言って必要ないかな・・・」と思っていたこの道具。使ってみると、とても便利でフリッカーより早く、繊維が開ける事がわかりました。ロックポップの写真も入れる?スクリーンショットになるけれど。
フリースを取り、毛元を掴んでフリースの3/4程をロックポップに入れ掴んでいる毛元の方を2回程上下に動かします。(近いうちにYouTubeビデオを作るそうです)これを直接ドラムカーダーに入れていきます。毛元は開かなくていいのかと聞くと毛先が開いていればドラムの鋭い歯が毛元は分けてくれるとのこと。相当からまっていなければ必要はないとのことでした。セミ梳毛なのでこちらは毛先を前に向けてドラムカーダーに入れていきました。

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2つ目のバッツは電動で。1オンス(約28gのCVM)で紡毛(woolen)バッツ。こちらは繊維を横、繊維がドラムと平行になるよう入れていきます。ロックポップで毛先を開き、ドラムに入れる時に、毛元も少しだけ開いて入れていきました。

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3つ目のバッツも電動で。0.5オンス(約14g)の白いBFLと0.5オンス(約14g)の茶色のBFL,セミワーステッド。こちらはドラムカーダーの幅を三等分に分け、右から茶色・白&茶色・白を入れていきました。
羊毛はトップだったので繊維の長さ分にちぎって茶色を右から2/3入れていき、白を左から2/3入れていきました。このように交互に繊維を入れていくと右が茶、真ん中が混合、左が白になります。
パッキングはパッキング・ブラシで行いましたが頻度は各トップを4等分に分け、その分けた分が無くなって次の色に変わる前にパッキング。

このバッツはディズ(Diz)でドラムから外しました。練習は必要ですが、慣れると、ドラムカーダーにかかっている羊毛から綺麗に1本のロービングができるので、とても良いです。
前提としてドラムを横から見て頂点からドラムの後ろ1/4のスペースを使っていきます
1)ディズの穴に入るよう2cm程毛をドラムから引き出し、ディズに通します。ディズをドラムから離さずドラムカーダーの後ろへ動かしながら通した繊維を少しづつ引っ張っていきます。ドラムの直径の四分の一まで来たらディズが頂点に行くよう、ドラムを動かし、繰り返し繊維を引いていきます。これは練習が必要ですが上手くいけばドラムから一回ですべての繊維が取れます。一つ目のバッツと違って同じ幅に繊維が揃っているので紡ぎやすくもあります。

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4つ目のバッツはアートヤーン用で、電動で作りました。ロムニーのフリースと色のトップ、モヘヤが入っていました。これはもう自由です。私はまずロムニーを入れ、大ドラムに直接モヘヤを付け、トップを細く縦にちぎり、モヘヤの間に大ドラムを回しながら付け、ブラシで軽くパッキングした後もう一回ロムニーから作業を繰り返しました。

<作業をしながら学んだドラムカーダーのコツ>

  • トップ等は繊維の長さにちぎってドラムに入れる。これは斜めになっている歯を通って繊維が交差する時、繊維より長いとうまく交差しない為。

⚫︎ 一度に大量の羊毛を入れない。クレメスのドラムカーダーには赤い線が引いてある。この線が見えるくらいの量を入れていく。多い場合は繊維が開かずドラムカーダーをかける回数が増えてくる。(ミニドラムカーダーには線がありません)

  • 赤い線より先には指を入れない。特に電動の場合は怪我の元となる。
  • パッキングブラシを使うと使わない時よりも30%増しの繊維がドラムカーダーに乗せられる。(ミニドラムカーダーのセットにはついていない為、ブレンディングボードの別売りブラシをお勧めしています。)
  • バーネシング・ブラシを使うと使わない時よりも50%増しの繊維がドラムカーダーに乗せられる。
  • 違う3種類の繊維を綺麗に混ぜたい場合は3回+1回で全体で4回ドラムカーダーに掛けると綺麗に混ざる。例えば、ロムニー、シルク、モヘヤを混合させたい場合は4回ドラムカーダーに掛けると大体綺麗に混ざる。
  • 状態が悪く、繊維が弱い羊毛はいくらドラムカーダーに掛けても綺麗にならない。
  • ドラムに多くの繊維が残る場合は繊維が弱くないか確かめよう。ドラムに残る繊維は弱かったり短かったする。
  • 長い繊維と短い繊維を混ぜる場合は短い繊維が長い繊維の3/4又は2/3の長さはあることを確認する。そうでない場合は長い繊維を切る。
  • 長い繊維を紡毛に準備する場合はドラムカーダーの幅にも制限があるので最大4”(約10㎝)(ミニの場合はもうすこし短く)梳毛に準備する場合は12”(約30㎝)、量は1.2オンス(約34g)が掛けやすい。
  • 使い終わったらベルトの寿命を延ばす為ベルトを外そう。
  • アートバッツを作る際、小ドラムと大ドラムの間隔を開けると混ざりすぎずにできる。
  • 逆に短い繊維をかける場合はEliteシリーズでは小ドラムと大ドラムの間隔を狭めると綺麗にカーディングされる。(ミニドラムカーダーを含む、スタンダードシリーズはドラムの位置を変更できません。)

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